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>アラン・デュカス氏インタビュー

「フランスの地方には魅力がいっぱい」

アラン・デュカス氏

1990年、33歳という若さで史上最年少3つ星シェフとなったアラン・デュカス氏。現在ではフランス国内の魅力的なホテルやオーベルジュが多数加盟する「シャトー&ホテル・コレクション」の会長も務めています。今回は、フランスの地方旅の魅力を発信するMOOK「パリ発、フランス旅」の創刊を記念し、パリだけではない観光大国フランスについてデュカス氏に語ってもらいました。

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「パリにはない奥深さこそが、地方旅の醍醐味」

11月14日に発刊された「パリ発、フランス旅 vol.1」では、パリのレストラン情報に加え、地方へのショートトリップが10コース紹介されています。デュカスさんが感じる、「フランスの地方にあって、パリにない魅力」とはなんでしょうか?

 パリは、日本における東京のようなものです。フランス全土の名産品や工芸品は、ほとんどがパリで見つけることができます。しかし、各地方ならではの"本当の本物"は、じつはそう多くない。確かに、パリの郷土料理レストランでも"それらしさ"を楽しむことは可能ですが、本物を見たい、味わいたいということであれば、やはり本場へ足を運ばなくてはなりません。地中海で穫れた新鮮な魚介類は、パリではなく南仏で食べるのが一番おいしいのは言うまでもありません。

これだけ物流が進化した現代でも、地方のレストランのほうが食材豊富で、おいしいものが食べられるものですか?

 もちろんです。ただ、当然ですが地元のレストランといっても、すべてがハイレベルなわけではありません。フランスの地方は、レベルの格差が大きく、当然いい店もあれば悪い店もある。地方に行ったら、やはりこうしたガイドブックで紹介されている名店を訪れることが、失敗しないための秘訣です。地方旅の楽しみに、食事は欠かせません。ぜひ、素敵なグルメに巡り合ってほしいと思います。

本誌は、パリ観光しかしたことのない日本人観光客に、もっとその先にあるフランスの魅力を知ってほしいという想いで作りました。

 とても大切なことです。日本人がパリの多様性に惹かれるのは理解できますが、フランスと日本は非常に似ていて、地方には地方の"奥深さ"というものがあります。季節による変化もあるので、ぜひ機会を作って、実際に何度でもフランスの地方の魅力に触れていただきたいと思います。

本誌のモデルプランでは、2泊3日という短いスケジュールでの提案となっています。フランスの地方を巡るには、本当はもう少し時間をかけたいところでしょうか。

 確かに2泊3日という期間は短いです。効率よく旅するには、きちんと事前に情報を入手して、ぎゅっと詰まったスケジュールを組む必要があるでしょう。ただ、ショートトリップでもかまいませんので、繰り返し何度もそうした機会をつくって色々な地方を訪れてみてほしいと思います。

フランス人のバカンスは、同じ場所に長い期間滞在する、というイメージです。1〜2泊ずつで移動してしまう日本人はせっかちなのでしょうか?

 そうとも限りません。昨今では、インターネットや雑誌でも情報があふれていて、訪れてみたくなる場所が世界中に増えています。そのせいか、フランスでも短い滞在日数で旅するスタイルの人が増えました。同じオーベルジュに泊まるのであれば、2泊程度でちょうどいいと私は考えています。

「地方に行ったら、市場に足を運んで欲しい」と別のインタビューでおっしゃっていましたが、他に"地方らしさ"を楽しむポイントを教えてください。

 私は世界中どこに行っても、まず市場に足を運びます。そこには人々の日々の暮らしが詰まっているからです。それ以外には建築、教会、自然などにも注目します。ただ、そうした観光的な要素よりも、スケジュールに柔軟性をもたせて、人とのあらたな出会いを大切にしています。予定を決めすぎず、自分から進んで冒険する。そうすることで思いもよらない発見が生まれ、より印象深い思い出として地方の魅力が心に残るのではないでしょうか?

「世界中を見渡しても、パリの街並みは素晴らしい」

パリについてもお聞きします。本誌の第一特集では、「美食と美景のマリアージュ」ということで、30周年を迎えたレストラン「ル・ジュール・ヴェルヌ」など、パリの美しい街並みとおいしい料理が同時に楽しめるお店を紹介しています。

 高いところにあるレストランというのは珍しくありませんが、ジュール・ヴェルヌの歴史とロケーションは格別です。パリの街並みはいつ見てもすばらしいと思いますが、エッフェル塔の上からパリの街を眺めると、昼は昼で光の変化を感じ、夜になれば宝石のようなイルミネーションを楽しむことができる魔法のような空間です。こうした景色も、料理を楽しむための重要なファクターなのです。

最後に、今後の日本における仕事の展開についてお聞かせください。

 レストランやホテルの経営だけではなく、「フランス・レストランウィーク」や「ジェーム・パリ」といった催しを通じて、フランスの文化と楽しみ方を紹介していきたいと考えています。これはまさに料理を通じての日仏文化交流であり、今後も積極的に推し進めていきたいと考えています。

写真・聞き手:伊澤慶一

アラン・デュカス
Alain Ducasse

フランス南西部ランド県の農家で幼少期を過ごし、料理人を志す。1984年に南仏ジュアン・レ・パンのレストラン「ラ・テラス」にてミシュランの2つ星を獲得。1987年にはモンテ・カルロにある「オテル・ド・パリ」のレストラン「ル・ルイ・キャーンズ」の総料理長に就任、33ヵ月後には史上最年少で3つ星を獲得した。その後、パリ、ロンドンなどでも星を獲得し、フランス料理界の最前線に立ち続けている。現在は、自らのエスプリを体現するレストランを世界各地でプロデュース。日本でも「ベージュ アラン・デュカス 東京」、「ブノワ」、「ル・コントワール・ド・ブノワ」の3店舗を運営するほか、フランス料理の魅力を伝える活動も積極的に行っている。2013年2月には、パリ、バスティーユ地区に工房を備えたチョコレート専門店をオープン、グランシェフの新たな創作活動に注目が集まっている。
ブルゴーニュ地方のボーヌ本誌取材で訪れたブルゴーニュ地方のボーヌは、美食の都として知られている。レストランのテラスでは、昼下がりから食事とワインを楽しむ人々であふれていた。
ブッフ・ブルギニョンブルゴーニュ地方の名物料理、ブッフ・ブルギニョン。その土地の料理は、その土地のワインとのマリアージュに限る。こうした食体験こそが地方旅の醍醐味。
古城ホテルロワール地方で宿泊するならば古城ホテルに泊まりたい。滞在時間の短いショートトリップ旅では、なおさらホテル選びが大事になってくる。